慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科

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先輩紹介

井上 千絵 さん

井上 千絵 さん
慶應義塾大学大学院
メディアデザイン研究科
修士課程修了
PR会社勤務 PRコンサルタント(INOmedia 代表)

20~30代 退職後の再チャレンジ 夢や希望を実現する

学び直しのきっかけは、テレビ業界への“漠然とした危機感”

大学を卒業後、民放テレビ局に就職した私は報道記者としてニュース番組に関わったほか、宣伝広報の部署ではPRの戦略設計や取材対応など情報発信を経験しました。仕事は面白く、やりがいも感じていたのですが、社会人生活が10年目を迎えたころからテレビ業界に漠然とした違和感を抱くようになりました。若い世代のテレビ離れやウェブ広告の隆盛といった変化に直面しているにも関わらず、業界全体も過渡期で、「このままのテレビではいけない」と危機感を持ちながらも次の打ち手を考えあぐねているような状態でした。
テレビ局を退職して大学院に進学することを決めたのは、「テレビ業界を外から俯瞰してみてみたい」「メディアを学び直して自分の次のキャリアをじっくり考えたい」という思いからでした。その前後に結婚や出産を経験し、仕事と家庭の両立に不安を感じていたことも背景にあったように思います。学び直しと同時に、新たなライフスタイルを築く機会にしたいと考えたのです。
当研究科(KMD)を選択したのは、OGでもある知人から話を聞き、「ここなら私の漠然としたテレビ業界への危機感を解消する答えが見つかるかもしれない」と感じたからでした。社会との関わりを重視するというKMDの特色にも魅力を感じました。また、一般に大学院では入学前に研究テーマを教授と相談することが多いと思うのですが、KMDではその点が問われることはありません。実際、入試の際に求められるレポートでは、私はテレビ局での勤務経験をまとめたものを提出しています。私のように学びの動機が「次のキャリアに向けた熟考期間」という社会人の方は多いのではないでしょうか。意欲があれば受け入れてくれるKMDは、社会人向きと言えると思います。

“強み”を持ち寄って化学反応を起こす

KMDでの学びは全てが実践的でその後のキャリアに役立つものばかりでした。なかでも大きな成果だったと感じるのは「自分にはない強みを持った人との化学反応で新たな発想・モノを生む」という視点を得たことです。
その意味で印象深かったのが、実用化を前提に新たなサービスを開発する授業「パイプライン2」です。1年次の前半に学ぶ必修科目の総仕上げとしてグループワークを行うのですが、エンジニア系、デザイン系など、異なる強みを持つ人が集まるようにグループ分けされ、私はプロモーション映像の制作を担当しました。私たちが開発したのは、外出中にスマートフォンのバッテリー残量が少なくなった人が、充電をシェアしてくれる人と出会えるサービスです。アプリ開発など技術的な知識は皆無の私が当時の日本にはなかったサービスを社会に送り出そうとする経験は、「自分の強みを生かすには」と考えがちだった私にとって大きなインパクトとなりました。
「人の強みを生かす」視点は、KMDの学びの核となるリアルプロジェクトでも大いに活用しました。ここで私が取り組んだのは、母親が赤ちゃんの背中をトントンと叩く感覚を人工的に再現するベビーベッド「MAMA KOKOCHI」の製作です。マットレスから赤ちゃんに触感を伝える「MAMA KOKOCHI」の発想の元には、まさに育児のまっ最中だった私自身の経験があります。指導主査には子どもとITの関わりを研究されている石戸奈々子先生にお願いし、副査には触感を人工的に作ることを研究テーマにされている南澤孝太先生に加わっていただきました。エンジニアリングでは素人同然の私がプロジェクトを形にできたのは、お二方をはじめさまざまな人の“強み”をお借りできたからでした。

何歳になってもチャレンジできる多様性溢れる場

KMDの初めの半年間はデザイン思考の基礎を徹底的に叩き込まれます。この期間は多忙を極めますので、特に社会人学生は上手なタイムマネジメントが必要です。でも、「24時間学生でいなければならない」と自分を追い込むことはないと思います。もちろん家族や周囲の協力は不可欠ですが、グループワークでも「参加する時間は限られているが、自分はこの部分では貢献できる」と伝えれば、同級生も時間に制約がある状況を理解してくれるはずです。
学び直しの意欲は持っていても、年齢や結婚、出産等を理由に新たなチャレンジをためらう方は少なくないと思います。でも、明るい未来を育むことができるのは、40代、50代でも学ぶ人がいて当たり前で、何歳になってもチャレンジできる多様性溢れる社会ではないでしょうか。年齢、国籍、職業とさまざまな背景を持つ学生が集まるKMDは、まさにそうした多様性溢れる場でした。
KMDを修了した現在、私はスタートアップ企業のPRをお手伝いする会社に勤務すると同時に、個人のPRコンサルタントとしてPR担当者のコミュニティ「ハッシン会議」の運営などを行っています。これらの仕事にも、KMDで培った1人で背負わずに自分に足りないものは委ねるスタイルを生かしています。現役のKMDの学生にも関わってもらっていますので、私ほどKMDを活用し尽くしている修了生も珍しいかもしれません(笑)。漠然とした危機感を抱いていた私がチャレンジし続けるための土台を得ることができた。KMDはそんな場所でした。

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