慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科

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教授紹介

砂原 秀樹 教授

砂原 秀樹 教授
慶應義塾大学大学院
メディアデザイン研究科

コンピューティングシステムアーキテクチャ

ネット社会の信頼性の検討がKMDでの研究の核に

インターネット上にあふれるさまざまなサービスに見るように、インターネットはすでに社会の屋台骨になった感があります。もはやインターネットなしには私たちの社会は成立しないでしょう。しかし同時に、重大インシデントの頻発や新種のコンピューターウイルスの横行など、インターネットのもろさを伝えるニュースも後を絶ちません。はたしてこの社会は信頼できるのか。私は近年、こんな懸念をテーマに研究を進めています。
最近では、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)が中心となり、サイバーセキュリティー研究センターというコラボレーション型の組織を立ち上げました。これは、従来は別々の組織で取り組んでいた「この社会は信頼できるのか」について、技術・社会制度・人間(教育)を一体的に考えるものです。ここで“人間”が含まれることに違和感をおぼえる方もあるかもしれませんが、こうした問題が“人間”に突き当たることは多々あります。
例えば不正アクセス対策を考えるとき、コストをかければ厳重なセキュリティーを設けることはできます。しかし、厳重にすると、頻繁にアクセスしたい情報は使いづらくなってしまう。私はよく「いちばん脆弱な部品は人間」と言うのですが、不便さを解消するために利用者自身が抜け道を作ったり、セキュリティーを解除したりすることがあるのです。適切なセキュリティーを考えるにあたり、今後は情報の重要度やアクセス頻度、コストなどのバランスを見極められる人材の育成や、その意義を社会に広める活動は、KMDでの今後の研究の核になるでしょう。

社会還元と活発なコラボレーションがKMDのカルチャー

先述の研究プロジェクトは、ある意味でKMDのカルチャーを体現していると言えるかもしれません。すなわち、研究は世の中への新しい価値の発信につながらなければならないということ。それから、別の専門性を持った人、組織とのコラボで大きな成果をめざすということです。
KMDのプロジェクトは、アイデアを練ってまとめるだけではありません。ものを作り、使う人に向けて展開するまでが問われます。社会に還元できなければ意味がない。これはKMDに設立以来貫かれている思想です。
コラボの面についてはまず、1つの専門領域を突きつめたいと考える人にとって、残念ながらKMDはあまり有意義な場所ではないことをお伝えしなければなりません。KMDではデザイン、テクノロジ、マネジメント、ポリシーの4つを教育の柱としています。明確なビジョンがあるにも関わらず、それをどう育てればいいのかわからない人が、この4つを学んで思考の幅を広げる。これがKMDの学びのイメージです。ただし、この4つすべてに高いレベルで精通する必要はありません。自分に欠けた部分を自覚して、例えば映像編集の技術は優れているのにストーリーが思いつかないなら、面白いストーリーを持っている人とコラボすればいいのです。KMDの研究室にタコツボ的な壁はありません。新たな課題が見つかれば、指導教授以外の教員に自由に助言を求めることができます。思いもしなかった出会いを期待してもいいし、「この教員とコラボしたい」と入学してもいい。KMDはそのどちらにも応えることができます。

世界の最先端をめざして想像を超え続ける

私は、KMDは人生における切り替えポイントだと思っています。新しい価値を世の中に広めたいと考える人は、これまでの専門性とは違う何かを身につけなければなりません。別の言い方をすれば、1つの専門領域を突きつめようとすれば、必然的に専門外の課題に直面するのです。長らくエンジニアとしてインターネットに関わってきた私も、いつしか法律や社会制度について学んでいました。KMDの修了生の中には、デザイン畑を歩いてきたのに技術系の企業に就職したり、現在はウェブマガジンの記者として働いている音楽大学出身者がいたりと、KMDで新たな道を見つけて人生を切り替えた者も少なくありません。こうした刺激を得られるのが、KMDという場所なのです。
KMDは2008年設立と比較的新しい研究科ですが、この10年に満たない期間にすでに2度の大きなカリキュラム改訂を行っています。これは常に世界の最先端でありたいというという私たちの意志の表れです。ですから、入学を検討中の方には申し訳ありませんが、みなさんが入学する来年度以降には現在とまったく異なるカリキュラムで学ぶことになるかもしれませんし、KMDそのものがみなさんの想像する姿とはまったく様変わりしているかもしれません。ただし、それは同時に想像を超えた姿であるはずです。私たちはそうした試みを続けているのです。

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