慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科

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教授紹介

岸 博幸 教授

岸 博幸 教授
慶應義塾大学
大学院メディアデザイン研究科

イノベーションと事業再生

日本が直面する構造変化にデザイン思考でアプローチ

「メディアデザイン」という名称のイメージから、経済政策が専門である私が当研究科(KMD)の教授を務めていることに違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、現代社会において真に価値のある変化を生み出そうとすれば、文系・理系を問わず、どんな領域でも先端技術と無縁ではいられません。KMDは「先端のデジタル技術を使って世の中を変えようとする人が集う場」なのです。私もまた、先端技術を活用しながら経済や産業の振興を考えています。
もう1つ、KMDを特徴づけているのは、デザイン思考で課題にアプローチするという点です。デザイン思考とは何かといえば、私の理解では、その本質は「ものごとを長期的な視点で捉えること」にあります。ビジネスでいえば対象となる領域のバリューチェーンをしっかりと見た上で、将来どうなっていくかを探ることです。バランスシートを良くするといった短期的な視点では世の中を変えるビジネスモデルは生まれません。
私たちがKMDを設立した2008年以降、日本でもデザイン思考のニーズは高まっているように感じます。グローバル化、第4次産業革命、人口減少、地方の衰退、温暖化といったさまざまな構造変化に対応するには社会やシステムを長期的に捉えることが必要です。シンプルで至極当然のことですが、こうした認識がようやく広がりつつあるのでしょう。今後、デザイン思考によるアプローチはさらに求められていくはずです。

地方創生にデザイン、テクノロジー、ビジネスの観点を導入

KMDの2年間の核となるのは、企業や自治体と連携して行う「リアルプロジェクト」です。私の研究室では、福井県鯖江市との協働でビジネスモデルの創出を目指す「伝統工芸みらいプロジェクト」に取り組んでいます。いわゆる“地方創生”は観光促進などに偏りがちですが、地元経済の生産性を高めなければ雇用増には繋がりません。そうした観点から、私たちは地域の強みである伝統文化に着目。鯖江市で1000年以上の伝統がある漆工芸に3Dプリンターなどのテクノロジーを導入して、漆の用途を広げています。伝統文化に現代のライフルスタイルを取り入れて産業化する試みには普遍性がありますから、留学生の中にもこのプロジェクトに関心を持つ学生は多いですね。
現在、鯖江市とのコラボレーションは、産業、経済の枠を超えた次のステップに進もうとしています。カーシェアリングや自動走行車で独居老人や買い物難民などをサポートして、地域で暮らす人がハッピーになるための取り組みを計画しているところです。また、今後は、農業にも注目していきたいと思っています。デザイン、テクノロジー、ビジネスの観点を農業、食に導入してもっと楽しい産業にするべく、いまはその種まきをしている段階です。

「これ」と決めた学びを突き詰める

これだけグローバル化が進んだ世の中で活躍するには、国際的な環境で自らを鍛える経験が不可欠です。KMDには世界トップレベルの大学院やビジネススクールで最長1年間学ぶことができる留学プログラム(GIDプログラム、CEMSプログラム)がありますので、積極的に活用してほしいですね。海外での学びをリアルプロジェクトに反映させて、より大きな成果をあげてください。
一方で、KMDの学生は約半数が留学生ですから、日本にいながら国際的な環境に身を置いているともいえます。世界各地からやって来る留学生の熱意は大きな刺激になるはずです。私の研究室に所属するレバノン出身の留学生は、紛争で疲弊した自国経済を復興させるため、特産のオリーブオイルを輸出産業に育成しようとチャレンジしています。KMDは世の中に変革を起こしたいという大きな志と意欲に溢れた人に応えることができる場所です。日本人学生からもそんなスケールの大きなテーマが現れることを期待しています。
ただ、入学前に明確なテーマがなくても構わないとも思っています。大切なのは「これ」と決めた学びを突き詰めることです。明確なテーマがないまま入学しながらも、KMDで初めてふれたプログラミングの習得に没頭し、非常に優秀なプログラマーとして卒業していった文系出身の学生がいましたが、彼もまたKMDらしさを体現する1人です。人として成長するには、とことん頑張る時期が必要だと思います。KMDの2年間をそうした時間にしてほしいですね。

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