ビジネスパーソン必読の「最新コンテンツ」

私のリーダー論

森トラストの伊達美和子社長(下)

人は理屈だけでは動かない 子育てで学んだ人材育成術

2019/08/06  (2/3ページ)

 「社員同士のコミュニケーションを活発にする仕掛けづくりもしてきました。その一つが1年に1度、丸2日間かけて行う全社プレゼンテーション大会『MTトーク』です。部署やプロジェクトごとにチームをつくり、全社員に向けて自分たちはどんな問題をどう解決しようとしているのか、どんな新規事業を計画したいのかをプレゼンし、議論を交わすのです」

■全社プレゼンで社長自らコーチング

 「他人に伝えるためには、情報をブラッシュアップし、きちんと伝わる形にして表現しなければなりませんから、頭の整理にもなります。日常業務の中では、隣の部署の人が何をしているのか、実はよくわかっていないケースも多いので、全社プレゼンの機会を使って情報共有をすると、自然と部署を超えたコミュニケーションも生まれてきます」

 ――社長はどの程度そこに関わるのですか。

 「プレゼンの準備段階から状況に応じて、いろいろアドバイスします。例えば、中間報告を出してもらって、チームの状況に応じてホワイトボードの前で一緒に論理構成などを整理するときもありますし、プレゼンの前には『当然、練習をするんですよね』とプレッシャーを与えたり。だいたい『えっ、練習するものなんですか』と聞き返されますけどね(笑)」

 「他の人の前で練習すると、達成度を客観視できます。自分たちの案を見直すのにも役立ちます。実際、人前で練習をやるとやらないではかなりの違いが出ます。そして緊張の本番を迎える。皆さんしっかりとやりきるのですけど、結構いい表情をしています。年々スキルも上がっていると感じています」

 「人間は誰しも自分が思っている限界より、さらに上に行ける瞬間があります。そこをサポートしたいのです。そのためにはある種のプレッシャーも必要です。もちろん全員に同じレベルを求めるのではなく、個人やグループの状況に応じて、さじ加減もします。そういうある種のコーチングが私は好きですし、もしかすると得意なのかもしれません」

■自分の意思は先に言わない

 ――半面、創業家3代目の社長となると、社員が遠慮してしまう場面もあるのではないですか。

 「気を付けているのは、自分の意思を先に伝えないこと。社員からのボトムアップでコミュニケーションを取りやすくすることです。社長の私が先に言うと、社員はそれを決定事項だと思ってしまい、別の意見を言いにくくなるかもしれません。どのようなプロジェクトでも基本的には提案型を意識していて、『何をしたいのか』『なぜするのか』『どうやってやるのか』と、会話の中でキャッチボールできるようにしています」

2020年竣工予定の「東京ワールドゲート」の地鎮祭で、くわ入れをする伊達美和子社長と父の森章会長=森トラスト提供

ページ上部へ