ビジネスパーソン必読の「最新コンテンツ」

私のリーダー論

森トラストの伊達美和子社長(下)

人は理屈だけでは動かない 子育てで学んだ人材育成術

2019/08/06  (1/3ページ)

 不動産大手、森トラストの伊達美和子社長(47)は創業家3代目。就任前から米マリオットホテルなど世界的ブランドホテルの積極誘致や、2020年竣工予定の「東京ワールドゲート」(東京・虎ノ門)など大規模開発で手腕を発揮してきた。10年、20年先を見通し、数千億円単位の巨額投資を決断するために必要なリーダーシップとは何か。また子育て経験から得た人材育成のセオリーとは。(前回の記事は「創業家DNA継ぐ女性社長 森トラストの水晶玉経営論」

◇   ◇   ◇

森トラストの伊達美和子社長

■社員が3つの力をつけられるようサポート

 ――父の森章氏(現会長)は社長を譲る際、「娘は事業の実績は十分にある。あとは総務系の経験を積むだけだ」と語ったとか。

 「確かに社長になる以前は事業部門でプロジェクトを中心にやっていましたので、社長になって初めてコーポレート部門を含む組織全体に目配りしなければ、という意識に変わりました。トップとしてもちろんリーダーシップが必要ですが、それは自分自身が強い意志を持ってやるだけのこと。それよりも、いかに各スタッフが能動的に仕事に向き合えるようにするか、その体制づくりが課題だと考えました」

 「同じ仕事でも受け身でやるのか、そうでないかによって、パフォーマンスに圧倒的な差が出ます。人は自らやってみたいと思い、目標に向かって頑張って、達成できたときに最高の喜びを感じるのだと思います。私自身、それを何度も体験してきました。ですから社長就任時、『喜び、やりがいを感じられるために3つの力を身につけていきましょう。私はそれをサポートします』と社員の皆さんに宣言しました」

 ――具体的に何をしたのですか。

 「3つの力とは、考える力、企画する力、実行する力です。もちろん既に持っている人もいますが、組織全体で基礎から固めていくために、『MTアカデミー』という研修制度を始めました」

■積極的な人材を育てる

 「初年度は企業全体に影響を与えることのできる中堅層を対象に、マーケティングやクリティカルシンキング(批判的思考)、デザイン思考など『考える力』を養う研修をしました。次に『企画する力』を養うためにグループワークを行いました」

 「そこで客観的に自分たちの会社や部署について分析した結果、知識や情報の共有がうまくできていないという全社的課題が浮かび上がってきたのです。このため、それらを共有できる仕組みをデザイン(企画)し、全社員の前で発表してもらいました」

 「社長就任と同時に発表した2016~27年度の中長期計画『アドバンス2027』は4年を一区切りとして3期にわたり、19年度は第1期の仕上げです。現在はMTアカデミーから生まれた企画も含め、『実行する力』を発揮する段階に入ったところです。この取り組みを通じて積極的な人材が育ち、事業にも良い効果が出てきていると感じています」

ページ上部へ