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私のリーダー論

日揮の石塚忠社長(上)

現場一筋「俺はごまかせない」 日揮鍛える出戻り社長

2019/03/05  (2/3ページ)

 ――リスクを管理する能力はリーダーに必須の資質の一つだと思います。石塚さんはどのように身に付けたのでしょうか。

 「現場で何か問題があったとき、2週間たっても問題の本質を見抜けない人と、2~3日行って、少し話してパッとわかる人の2つのタイプがあります。自慢じゃないけど私は後者(笑)。装置の内容、作業量、工程を見ると、現場を見なくてもこの時点でこうなっているはずだというイメージが頭の中に浮かびます。仕事の内容から、このレベルのエンジニアが設計に従事していないと難しいとか、協力会社の能力はこのくらいないとできないといった自分なりのベンチマークも持っている。現場を自分の目で見て話を聞き、ベンチマークとの差を見つけることで、短時間で問題点を把握できるわけです」

■リスクを見抜くには、経験を重ね、人と話すこと

クウェート国営石油会社から受注した製油所プロジェクト(左端が本人)

 「コストや技術的な問題もありますが、リスクは往々にして関係者の心の中に起因します。例えば、応援を要請して人を動員したのになかなかうまくいかない。実は応援に来た人は『私は応援ですから』と思っていて主体性がなかったということもあります。それなら人を増やしてもうまくいかない。関係者の心の中も含めて解決していかないと本当の解決にはなりません」

 「こうしたリスクを見抜く嗅覚を身に付けるには、やはり経験が大きいですが、私は自分の専門である機械工学以外に、設計や化学、業界の動きなどについても好奇心の塊で興味を持ってきました。それがプラスになっていると思います。経験すること、そして人とよく話すことが大事です」

 ――社長に就任後、まず若手、中堅社員と話す場を設けたそうですね。

 「社員の意識改革が必要だと思い、若手・中堅社員を集めて朝のミーティングを実施し、合計で400人の社員と意見交換をしました。私から『自信過剰になっていないか』と問いかけられても最初は戸惑っている様子でしたが、話を進めていくなかで『確かにそうかもしれない』という反応に変わりました」

 「当社はリスクの塊のような仕事をしていながら長年、赤字がありませんでした。私が入社したときは1000億円ぐらいの売上高でしたが、2000年ぐらいから原油価格の上昇を背景にプラント業界が活況の時代を迎え、仕事のサイズがどんどん大きくなりました。1件で数千億円という大型案件を連続して受注し、年間の売上高が8000億円規模になっていく過程で、過信やおごりが生まれたのではないでしょうか」

 「毎年約70~80人が入社してきますから、1000人以上が赤字を経験したことがない計算になります。潤沢な資金を使って投資もやろう、日揮は商社にも負けない会社になるんだという雰囲気でした。イリュージョンですね(笑)。みんなもう一度基本に帰ろう、我々の仕事は何なのか考えようと呼びかけました。当社はもともとフラットな組織です。高専出身の私が社長になるぐらいですから、学閥もありません。本社近くの居酒屋で若い人と飲むこともよくあります。とにかく色々なところで話をしていきました」

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