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私のリーダー論

ユニ・チャームの高原豪久社長(下)

「異様なまでのこだわり」を 日本の経営に足りぬ野性

2018/12/20  (3/3ページ)

 「いま日本では『働き方改革』の論議が盛んですが、時短みたいなことばかりに目が向いてしまうことには、危機感もあります。やはり、時間を忘れてやるくらいの偏執的要素が根底になければ、イノベーションは生まれません。よくアスリートが『自分をほめてやりたい』といいますが、あれも偏執的になって高い目標を達成したからこそ言える言葉でしょう。本当に苦しい時の下支えになるのも野性です」

■創業家に生まれた者として、無期限に努力し続ける

 ――高原社長にとっての野性とは何ですか。

社長就任会見で語る高原豪久氏(後方は父親の慶一朗氏)

 「仕事が好きで、仕事を通じて社会に貢献したいという欲求が強いということだと思います。これは祖父も父も経営者であったということが影響していると思います。結局、理屈ではなく、仕事とプライベートが不即不離なのです。ユニ・チャーム=自分そのものと、自然に違和感なく思っているので」

 「もちろんオーナーでなくても優秀な経営者はたくさんいます。しかし、どこかで『仕事としての経営』『職業としての経営者』という側面があるかもしれません。しかし、オーナー経営者には『この会社でのキャリアが終わったら、次の会社へ』という選択肢はあり得ません。だからこそ、いつまでも努力をし続けても苦にならない。そこが違いではないでしょうか」

■100年企業を目指し、紙おむつのリサイクルに挑戦

 ――いま、一番努力しているもの、目指している高みは何ですか。

 「先代である父にとって我が社を上場させることは大きなモチベーションだったと思います。創業から57年たったいま、私自身が目指すのは、当社を100年を超えて社会に貢献し続ける会社にすることです。最近、ESG(環境・社会・企業統治)という言葉が注目され、3つの要素を考慮した経営をすることが会社の長期的成長につながるといわれますが、ユニ・チャームの経営理念である『赤ちゃんからお年寄りまですべての生活者がいつまでも快適に自分らしく暮らせる社会の実現』はまさにそこに合致する。これをブレずに追求していきます」

 「いま力を入れているのは使用済み紙おむつのリサイクル事業です。技術的には確立しましたが、再生資材を用いた紙おむつを我が子に使うというのは、相当に心理的なハードルが高く、根気強い啓発活動が必要だと覚悟をしています。自然保護に真剣に取り組まなければ、森林資源はいつか枯渇する。100年企業になるには、そこまで視野にいれて何十年も前から手を打っていかなければなりません。データサイエンスで、その心理的な壁を乗り越えていくためのインサイトを発見できるか。これはいま、私にとって非常に重要な研究課題の1つです」

高原豪久

 1961年、愛媛県生まれ。父親の慶一朗氏がユニ・チャームの前身である「大成化工」を創業したのもこの年。成城大学経済学部を卒業後、三和銀行(現三菱UFJ銀行)を経て、91年ユニ・チャームに入社。2001から社長。

(ライター 石臥薫子)

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