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私のリーダー論

ファーストリテイリングの柳井正社長(上)

「いつも心は折れそうだけど」 柳井正氏の自分論

2018/07/24  (3/3ページ)

――柳井さんが思う自分の能力は何だと思いますか。

 「僕が人より優れている能力があるとすれば、自分を客観的に見られる能力です。今はもういないんだけど、昔、沢田貴司くん(ファミリーマート社長)や玉塚元一くん(ハーツユナイテッドグループ社長)らと360度評価をやったことがあるんです」

 「そうしたら、僕以外のみんなは自分の評価がとても高かったんだけど、僕だけ自分の評価と他人の評価がほとんど同じだったんです。おそらく、僕は自分が商売に向いてないと思っていたから、自分を客観視できるんだと思う。そのとき、これが僕の得意技だなと思った」

――柳井さんは、仕事でストレスを抱えると、眠れますか。

 「寝られないね。だから、僕の機嫌が悪いときは寝られてないとき(笑)。でも、5~6時間は寝ているよ。僕の生活は毎日同じペースなんです。毎朝、5時から5時30分に起きて、朝食を食べて新聞を読む。そして、6時30分から45分にはオフィスにきています。オフィスは、7時から仕事しているので、だいたい7時30分からうち合わせなど仕事しています。そして、3時か4時には帰っちゃう。ほんとはもっと早く帰りたい。長くオフィスにいても仕事はできないと思う」

――朝型ですね。

 「朝型のほうがいいよ。外から電話かかってこないしね。6時30分から7時30分までは、今日はどんなことをしようとか、考える時間です。経営者の仕事は考えることです。僕はいつもいうのですが、仕事は経営者がするのじゃない。社員がするんです。でも、経営者だけががんばっても意味がない。社員ががんばれる会社にしないといけない」

――それをいつも考えているのですか。

 「ずっと考えているよ。たぶん孫さんも(日本電産会長兼社長の)永守重信さんもそうだと思うけど、24時間考えていると思うよ。寝ててもぐるぐる考えてしまう。寝る前に仕事のことを考えると頭がさえて寝付けなくなるから、できるだけ考えないようにしているけどね」

■金もうけが目的の起業家が多すぎる

――柳井さんのモチベーションはなぜ衰えないのでしょう。もう、日本トップクラスのお金持ちですよね。

 「誤解ですよ。僕、金もうけしようと思って仕事したことなんて一度もないですよ。金もうけなんてどうでもいいもん。そんなこと考えたら終わりですよ。起業家でね、そういう人が多すぎる。僕、よくいってるんです。上場は引退興行だって。上場したら会社売って終わり、という人多いよね。でも、金なんてすぐになくなるし、何千億円稼いだとか、意味がないよ」

――では、柳井さんのモチベーションとは何ですか。

 「夢とか目標とか、高尚なものじゃない。服屋として、行けるところまで行ってみたいんです。登山家と一緒。加えて、仕事は、団体競技なんです。今、当社には世界で約11万人の従業員がいるんだけど、その人たちと一緒にチームプレーできる。僕に100メートルを9秒9で走れる能力がなくても、誰かがその能力もってたら走れるんです。それが楽しい」

柳井正

 1971年早稲田大学政経学部卒、ジャスコ(現イオン)入社。72年に小郡商事(現ファーストリテイリング)入社。84年社長、2002年会長。05年9月、社長に復帰

(松本千恵)

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