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キャリアの原点

スタートトゥデイ社長の前沢友作氏が語る(上)

「競争は嫌い」出社は週3日、前沢流の粋な働き方

2017/11/28  (1/2ページ)

 ファッション通販サイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイ社長の前沢友作氏。バンド活動をしながら、同社を創業。アパレル市場が伸び悩む中、業績は好調だ。独自の経営哲学を持つ前沢氏はいつ仕事に目覚めたのか。

◇   ◇   ◇

 スタートトゥデイには僕の机もなければ、パソコンもありません。社長室はありますが、打ち合わせや、たまに疲れた時に仮眠をとるのに使うくらい。じつは、僕、メールアドレスも持っていないんです。

 出社するのは週3日だけ。それも、会議のためだけに来ています。「社員やその家族を養うために頑張ろう」なんて、考えたことはありません。そんなことを僕が思った瞬間、何かがウソになる。

 1部上場企業になりましたが、大事にしていることは、それ以前と何も変わりません。好きなことを、ただひたすら楽しみながらやる。それがいつの間にかビジネスになっていたんです。

 もしも、僕がヘンに気負い始めたら、社員はこう言うでしょう。

「社長、そんなことはいいから、面白いことだけ考えてくださいよ」って。

■クワガタを捕りに5駅先へ

 生まれたのは千葉県鎌ケ谷市です。父はサラリーマンで、母は専業主婦。ごく普通の家庭です。父はクラシック音楽が大好きで、音楽は子どもの頃から、いつも身近にありました。コンサートにもよく、連れて行ってもらった記憶があります。

 僕自身は、子どもの頃から凝り性でした。凝ると、なんでも集めたくなる。小学生の時はクワガタ集めに凝っていました。近所に、毎朝、たき火をしているおじいちゃんがいて、ある日、そのおじいちゃんから、5駅先の森にたくさんクワガタがいることを教えてもらい、電車に乗って捕まえに行くようになりました。

 持ち帰ったクワガタを家の裏で繁殖させて、同級生に売ったりもしていました。それで「お菓子を買おう」とか思ったわけじゃないんです。売ったお金を電車賃に充てて、また、5駅先の森へ捕りに行く。要するに、「オタク」です。

 その頃から、人と競争するのは大嫌いでした。運動会のかけっこも、小学校の3、4年くらいからは真面目に走らなくなっちゃった。順位を付けられるのがバカバカしかったし、周りの大人が結果に一喜一憂しているのを見るのも、嫌でした。

 塾にも通っていましたが、今から振り返ると、あれは一種の親孝行だったかもしれない。親が喜ぶから行っていただけのことで、大学に入りたいとか、将来、何になりたいか、なんて考えたこともありませんでした。

■中学3年生でバンド活動を始める

 地元の友だちとバンドを組んだのは、中学3年生の時です。最初はギターを弾いていましたが、ドラムを叩けるメンバーがいなくて、僕がやることになりました。人と同じが嫌いで、洋楽、それもハードロックやハードコアパンクにハマっていました。

 好きだったのは、ニューヨークの「ゴリラ・ビスケッツ」というバンド。「スタートトゥデイ」という社名も、じつは、彼らの曲のタイトルから取っています。

 勉強は好きでも熱心でもなかったですけれど、親に勧められて、高校は早稲田実業を受験して合格しました。入学式の日、僕はなぜか、ニューバランスの赤いスニーカーを履いて学校に行ったんです。周りはみんな、黒いローファーを履いているのに。

 学ランに赤いスニーカーって、ファッション的にはちょっとバランスが悪いんですけれど、思えば、あれが僕にとってのささやかな「抵抗」の始まりでした。

 制服があるのに高校は私服で通っていましたし、あえて違うクラスに出席したりもしていました。特別に「ワル」というわけではなかったですけれど、そういう意味では、ちょっと"特殊な子"だったかもしれません。

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