注目の研究科リポート

テーマ:働きながら新たな分野に取り組み、転職に成功
企業の大切な知的財産を守るやりがいのある仕事に

南郷 興平 さん(シスメックス株式会社)
K.I.T.虎ノ門大学院(金沢工業大学大学院)
工学研究科

企業の大切な知的財産を守るやりがいのある仕事に

K.I.T.虎ノ門大学院は金沢工業大学が東京に開設した社会人大学院です。私はIT系コンサルティング企業に勤務する傍ら、2010~12年に同大学院の「知的創造システム専攻」で学びました。修了後はそこでの学びをステップに、医療機器メーカーのシスメックスに転職。現在は知的財産部知財企画課に勤務しています。 今の仕事を簡単に説明すると、研究・開発の過程で生み出された技術やアイデアなどの発明を発掘し、特許権や意匠権などの権利に変えていく、ということになります。当社の医療機器はグローバル市場で展開しているので、国内のみならず各国のルールにのっとって権利化することも必須です。 知的財産権は事業の損益に大きく影響することがあるので、「いつ、何を、どのように権利化するか」という判断には、戦略的な視点が欠かせません。市場動向や自社の企業戦略を把握しつつ、発明の要旨や技術的価値を理解した上でベストな着地点を見つけていく――。難しいですが、非常にエキサイティングな仕事だと思います。 とはいえ、日々の業務は膨大な情報と格闘する地道な作業の積み重ね。私はもともと性格がねちっこいので(笑)、そこはそれほど苦になりません。 やりがいの面でも適性の面でも天職に出合えたと思っています。

特許の仕事に魅せられ大学院への挑戦を決意

私の最初の仕事はIT系企業のエンジニアで、自動車や家電メーカーの設計・開発現場向けに開発された3次元CADシステムの導入サポートを担当していました。 転機が訪れたのは社会人4年目の夏。社内で新規事業のアイデアが募集されたので、私は漠然と「特許関連の事業がいいのではないか」と考え、知財の第一人者の一人として知られる丸島儀一先生の講演に足を運んだのです。 このとき、知的財産は製造業の企業活動の最も本質的な成果であること、その成果を特許権などで十数年にわたって保護する仕事は、企業が価値や利益を生み出し続けるために欠かせない活動であることに気づき、強く興味を持ちました。その丸島先生がK.I.T.虎ノ門大学院で教授として教鞭を執られていると聞き、どうしても学びたくなって入学を決意したのです。 1年で修了することも可能でしたが、私はゼミにじっくり取り組みたかったので、2年間で学ぶスケジュールを立てました。それでも1年目は平日夜に週2日、土曜は終日みっちり講義があったため、時間のやりくりには苦労しましたね。仕事も繁忙期になると帰宅が深夜になることが珍しくありません。仕事と学校、両方の課題を必死にこなしたことを覚えています。

仕事と学業に明け暮れた充実の2年間で大きく成長

大学院での2年間は、体力的にはハードでしたが、講義はとても楽しかったです。法律の勉強というと退屈なイメージがあるかもしれませんが、どの講義も事例が豊富で、聞いていて飽きることがないのです。 大きな財産になっているのは尊敬する丸島先生のゼミで企業の知財戦略の基本的な考え方を学べたこと。さらに、特許法の基礎について厳しくも温かく指導してくださった加藤浩一郎先生、意匠法のポイントを非常に端的に教えてくださった杉光一成先生など、印象深い先生や講義は数え切れません。そんな学びを深めるにつれて「メーカーの知財部門で働きたい」という思いが強くなり、2年目の後半からは知財関連職種への転職活動にも取り組みました。実務経験が重視される職種で、未経験にもかかわらず希望どおりの転職がかなえられたのは、大学院での出会いと学びがあったからこそと心から感謝しています。 仕事と学業の二足のわらじを履くのは本当に大変です。中途半端な気持ちでは続けられません。しかし、現在はその苦労以上の成果が得られていると実感しています。知識や人脈を得たことに加え、ハードな日々をやり抜いたという経験自体も、この先、仕事でどんな困難に直面しても乗り越えていけるという自信につながっています。精神面でも大きく成長できた2年間だったと思います。

(出典:日経BPムック 社会人が学びたい大学・大学院2014)

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