慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科

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先輩紹介

清野 由美 さん

清野 由美 さん
慶應義塾大学大学院
システムデザイン・マネジメント研究科
修士課程2年
ジャーナリスト

ジャーナリストとして感じたメディアの危機を乗り越えるための学び

私は現在、フリーランスのジャーナリストとして、各界で活躍する人物の取材記事を執筆するほか、都市計画・まちづくりをテーマにした取材活動などを行っています。
独立前は出版社で情報誌の編集に携わっていました。当時はバブル期で、本も雑誌も出せば出すだけ利益があったものですが、現在は出版不況をはじめ、良質とされるテレビ番組も打ち切られるなど、マスメディア全体が低迷しているのはご存じの通りです。
私はメディアが低迷する理由の1つに、問題を切り取るだけでソリューションを提案してこなかったことがあると考えています。この点が変わらなければメディアは立ち行かなくなるし、私もフリーランスとして生き残ることができません。しかし、業界の内側では社会の変化を嘆く声はあっても、「メディアはどうあるべきか」という議論は生まれていないように感じます。フリーランスとして、いくぶん客観的にメディアを見ることができるからでしょうか。こうした状況に危機感を抱くようになりました。
大学院入学を決めたのは、子供が成人したこともあり、この機会に学び直しをしてソリューションを提案する力を身につけたいと思ったからです。本研究科(SDM)への入学を決めたのは、「システムデザイン」という概念が、時代をキャッチするのにとてもいいのではないかと感じたためでした。

社会をサバイブする方法論として「システムエンジニアリング」を役立てたい

SDMでの学びが始まってまず感じたのは、「ここまで理系の思考がベースになるとは」という驚きでした。たとえば、ある対象について「いいね」と評価する場合、典型的な文系タイプの私はレトリックを用いるのが常でした。しかし、SDMで「いいね」と言うためには、レトリックを排して対象を事細かに分割し、システムの要素に還元しなければなりません。
こうしたシステムエンジニアリングのフレームワークを叩き込まれたのが、「システムデザイン・マネジメント序論」「プロジェクトマネジメント」といった必修科目です。これらの授業で、「要求を分析してどう動くかを決める」など、マインドセット(暗黙の了解)を明確にする必要に触れたのは新鮮でした。「進めながら考えましょう」で仕事をすることが多いメディア業界で働く私にとって、こうした思考法は、社会をサバイブする方法論として役立てることができそうです。
とりわけ、ゼミの指導教授である中野冠教授の研究姿勢に接したことは大きな財産になりました。中野先生には研究内容への指摘はもちろん、学術研究のフォーマットについて厳しく指導していただきました。世界のアカデミズムが長い歳月をかけて積み上げてきたフォーマットを身につけなければ、修士課程で学ぶ意味がありません。SDMのエッセンスもまた、フォーマットの徹底を通して教えていただいたと思っています。

SDMの理系的手法で意外な結論が導かれた修論研究

修士論文では、これまでの関心から「持続可能なまちづくり」をテーマに設定しました。
近年、高層マンションの連なる街が各地に増えていますが、私はこうした街のあり方は持続可能性の観点で好ましくないと考えています。一方、私にとっては歴史的な町並みを大切にする“ムラ”的な街のあり方が理想なのですが、そうは思わない人に「いいね」が通じないもどかしさを感じていました。そこで、「持続可能なまちづくり」を経済性・環境性・社会性の3要素に還元し、数量的なアプローチで7つのタイプの街の分析を試みたのです。
果たしてその結論は、意外にも“ムラ”より高層マンション型のほうが「持続可能性に優れている」というものでした。しかし同時に、高層マンション型にはリスクが大きいという矛盾した結論も導かれたのです。今回の結論はあくまでもソリューションを導くプロセスです。この矛盾を解決するための考察を続けるにあたっては、自分の中の文系的要素と、SDMで学んだ理系的要素のバランスをいかにとるかというテーマをもって取り組みたいと思っています。
修士論文に取り組む過程で、私は青井グローバルアワードを受賞し、イギリスのケンブリッジ大学に赴き、都市計画の先進国が「持続可能なまちづくり」をどう捉えているかを探る機会を得ました。そこでは国籍、年代、キャリアが多様な人々が1つの学問的理念に沿って思索をしている姿に感銘を受けたのですが、SDMにもそのエッセンスが息づいているように思います。

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