慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科

223-8526 横浜市港北区日吉4-1-1
日吉学生部 大学院担当
TEL 045-564-2518

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教授紹介

小木 哲朗 教授

小木 哲朗 教授
慶應義塾大学大学院
システムデザイン・マネジメント研究科

現代社会の問題に対応するには文理の枠を超えた視点が必要

たとえばロケット開発では、機械工学や流体力学、ロボット工学などさまざまな技術者が参加するように、現代の事象は、種々の要素が複雑にからみあった大規模な“システム”として存在しています。しかし日本は、個々の技術は世界のトップレベルにあるものの、それらを取りまとめてシステムをデザインする能力を持った人材がまだまだ少ない。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント(SDM)研究科はこうした認識のもと、1つの技術を掘り下げると同時に広い視野も持ち、世の中の問題に最適な解を示すことのできる人材を養成するために設立されました。
一般に“システム”という言葉からは理系的な学問を想像しがちですが、私たちの“システムデザイン”の視点は、政治や経済をはじめとする社会問題の解を考える上でも有効です。なにより、社会のすみずみにコンピューターが組み込まれた現代においては、あらゆる問題が文系・理系双方の側面を持っています。一般的な大学院が専門分野を極める場であるとすれば、SDM研究科は、文系・理系の枠を超えた複雑で大規模な問題を解決するための思考法を身に付ける場であると言えます。

授業のベースにあるのはシステムデザインの概念「Vモデル」

SDM研究科ではシステムデザインの概念である「Vモデル」を重視しています。Vモデルとは、全体像が曖昧な問題の解を考える際に、問題をシンプルな要素に分解し、個々の要素の問題を解決して再び統合するというプロセスです。私が担当する授業のひとつ「モデリングとシミュレーション」では、シミュレーション技術を用いて社会的な課題を考えますが、ここでもベースとなっているのはVモデルです。
たとえば、この授業のある回では、横浜市が救急システムの円滑化のために導入した「コールトリアージ」(患者の緊急度や重症度によって救急車出動の優先度を決定するシステム)を検証しました。「救急システムの効果検証」という漠然とした課題を、搬送場所と救急車の待機状況、患者の緊急度などのデータに基づいてシミュレーションを行い、効果を検証したのです。
その結果、重症患者に関してはコールトリアージは有効であるとわかりました。しかし、授業ではここで終わらせず、より効果的に運用する方法を考えるところまで行いました。こうしたプロセスを通じて、学生はVモデルの概念を理解し、問題解決の手法を身に付けていきます。

“技術”と“社会”を結びつけるために実際的な課題を扱う

私の授業でもそうであるように、実社会の課題を積極的に扱う点もSDM研究科の特色です。必修科目の「デザインプロジェクト」も、テーマとなるのは企業などが実際に抱える課題です。海外の大学(マサチューセッツ工科大学、スタンフォード大学、デルフト大学、アデレード大学)と連携しながら、第1フェーズで考え方・方法論を学び、第2フェーズではツールの使い方に対する実践的学習を行い、第3フェーズで、企業・団体などから提案のあった実際の問題について、グループで解決策の検討・提案を行います。この授業によって学生は、実際的な課題を扱いながらVモデルを体験し、イノベーティブなアイデアを生む力を養います。
実社会の問題を解決するという点で言えば、私の研究もそうでしょう。私の専門テーマは、バーチャルリアリティーなどの没入型映像に関する研究ですが、現在は保険会社と共同で、高齢者の自動車運転の挙動を分析するドライビングシミュレーターの研究を進めています。
従来型の工学部の研究であれば、技術開発がゴールであり、研究段階で高齢社会の交通問題と結び付けることはありません。しかし、開発した技術が社会にどう役立つかを常に意識することを求めるSDM研究科では、“技術”と“社会”を結び付ける研究が当たり前のように行われています。大事なのは問題意識です。ここで学ぶ学生には、問題意識を持ち、それを解決する手法を学んで自分なりの解を導き出せるようになってもらいたいと思います。

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