慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科

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教授紹介

南澤 孝太 准教授

南澤 孝太 准教授
慶應義塾大学
大学院メディアデザイン研究科

Embodied Interactions (身体性インタラクション)

何の役に立つのか――この問いから研究のすそ野が広がった

私は学部から大学院まで東京大学にいました。これまで研究してきたのは触感のインターフェースの開発です。テレビなどのメディアは、直接触れることができませんが、触って体感できる新しいメディアをつくろうというのが発想の原点です。具体的には、遠く離れた場所でロボットが触っているものを自分が感じることができる技術の開発などを行ってきました。
その後、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)に赴任してきたのですが、こちらにきてカルチャーショックを受けたのは「研究としては面白いけどそれを研究してどうなるの?」と問われたことです。研究・開発だけで終わらせず、その研究によって誰がどう幸せになるのかまで考えた上で、開発者自身が活用のフィールドに飛び込んで試行錯誤し、責任を持って社会に展開するという理念がKMDにはありました。
そこでまず、触感を意識した表現を試みる「テクタイル」というプロジェクトを立ち上げ、触感の技術を生かした表現が誰でも簡単にできる「テクタイルツールキット」を開発し、様々な場所で様々な方に向けたワークショップを実践しました。すると、これまで研究室内で留まっていた技術がアーティストや企業のプロダクトデザイナー、教育関係者など多くの方々に注目され、一気にすそ野が広がり様々なコンテンツが生まれたのです。さらに、電器、自動車、化粧品、アパレルなど様々な企業からも声がかかるようになり、現在は共同で新製品の開発も行っています。

「人機一体」の新たな競技を創造する「超人スポーツ協会」を設立

テクタイルプロジェクトから始まった私のKMDでの研究は、いま、触感に限定しない「身体的な経験をデザインする」という「身体性メディア」の研究へと発展しています。このプロジェクトでは、はじめから企業を巻き込んで、身体的な経験をつくり出す新しい産業分野を生み出すことを目標にしています。
身体性メディアのわかりやすい展開例の1つがスポーツです。昨年10月、KMDの稲見教授と中村教授と共に「超人スポーツ」という新しいスポーツの概念を立ち上げました。どういう概念かというと、たとえばパラリンピックでは義足で走っている方がいらっしゃいますが、ヨーロッパなどの大会では、義足の選手が健常者に勝つということが起きはじめています。義足によって健常者と対等に競うことができている。ならば、テクノロジーを人に融合させ、プロもアマも、高齢者も子どもも、健常者も障がい者も、みんなが一緒に楽しめるスポーツをつくり出せるのではないか。人とテクノロジーを融合させ、人間の能力を補強・拡張することで実力差をなくす「人機一体」の新たなスポーツ、これが超人スポーツです。
2020年、東京オリンピックの開催に併せて超人スポーツの祭典を開催することを目指し、今年2月には「超人スポーツ協会」を立ち上げて本格始動しています。

超人スポーツの取り組みはリアルプロジェクトの好事例に

超人スポーツ協会にはすでにKMDの学生も参加していますが、2015年度からは正式に「リアルプロジェクト」の1つに加わります。リアルプロジェクトは、学生が異なる能力を持った方々とコラボレーションし、デザイン、テクノロジー、マネジメント、ポリシーの4つの力を複合して実社会の中で研究活動を実践するプログラムで、現在も様々なプロジェクトが動いています。超人スポーツ協会の取り組みは、この好事例となるでしょう。
なぜならば、超人スポーツの祭典を実現するには、競技や機器を開発し、アスリートを育て、メディアを活用して社会的なムーブメントをつくり、さらに法律や行政の枠組みも変えなくてはいけません。つまり、KMDが柱とする4つの力を融合し、様々な専門家とコラボレーションすることが不可欠だからです。
私がKMDにきて6年目になりますが、リアルプロジェクトを通して高いハードルを越えた学生は、自信を持ち、間違いなく強くなります。超人スポーツ協会も今後いくつものハードルを越えなくてはいけません。いままでにないものをつくりたいという強い思いを持ち、「メディア・イノベータ」を目指す方の参加を望んでいます。

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