慶應義塾大学大学院経営管理研究科

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教授紹介

岡田 正大 教授

岡田 正大 教授
慶應義塾大学大学院
経営管理研究科

“自立的な意思決定力”を培う学び直しの2年間

創立から52年を数える慶應義塾大学大学院経営管理研究科(KBS)は、日本で最も長い歴史を有する2年制のフルタイムMBAコースと2015年4月より開講の土曜を中心としたエグゼクティブMBAコースが並立しています。フルタイムMBAに在籍する学生はその大半が30歳前後。企業の寄付によってプログラムが支えられてきた経緯から、当初は企業派遣の学生が過半でしたが、現在ではその比率は逆転して自費入学の学生が上回っている状況です。
KBSのフルタイムMBAコースは、最近のビジネススクールで導入の進む夜間開講制を採用していないため、学生の多くは勤務先を退職・休職することになります。かく言う私も会社を休職してKBSで学んだひとりですが、業務を離れてフルタイムで学びに集中する2年間は、数年のキャリアを積んだ20-30歳代の若手社会人にこそ必要だと断言できます。
伝統的な日本企業の価値観から見ると、組織の規模が大きくなるほど自分の意思決定の裁量は小さくなっていきます。これは必然です。そこで、これからキャリアがさらに上昇していく前の段階で、いったん日々の職を離れ、今一度広範な経営スキルをまんべんなく学び直し、これまでの限られた経験を再構成してさらに大きな構造を体得していく。そうすれば、その後いかなるキャリアに進もうとも、最終的なゴールに照らして上からの指示が本当に適切かを含めて、自立した判断ができるようになるはずです。30歳前後という年代であれば、その時間的余裕は十分あります。これまでに染みついているルーティンベースの習慣やバイアスをリセットするには、企業をいったん離れて学び直す時間が必要だと思います。私自身もかつての経験から、2年間の集中的な学びによって様々な経営スキルと共に大局的に俯瞰する姿勢を身につけられたと思っています。自ら課題を設定して柔軟に判断・実行する“自立的な意思決定力”は、KBSが理想とする人材像・革新的リーダーが備えるべき第一の条件でもあります。

“居心地の良い領域”を脱するために

私の研究テーマは、アフリカなどの新興国を主なフィールドとした、包括的市場における経済性と社会性の両立です。ここでいう“包括”とは、従来はビジネスの対象外だった低所得層を含む世界70億人を総体的に捉えることを指します。
CSRが定着した企業風土のためでしょう、欧米を中心とした海外企業には、貧困をはじめとする社会課題の解消に取り組んでその市場の購買力を向上させ、利潤の確保につなげている例が少なくありません。ところが多くの日本企業では、いまだ「貧困に苦しむアフリカ」というイメージが強いのか、「ビジネスには不向き、時期尚早」といった固定観念が根強いのが現状です。多くの企業は社会インフラなどが整った“居心地の良い領域”で商売をすればよい、という前提を脱却できず、ビジネスの機会を逸しているのです。
私が担当する専門科目「Strategic Management with Social Impacts」は、アフリカに進出した企業などから様々な実務家を招いたり、私が新興国を取材して作成したケース教材を元にディスカッション形式で進める授業です。これは選択科目ですから、履修する学生はもともとこうした領域への関心が高いです。しかし、企業の手による“経済性と社会性の両立”に関しては多様な意見の違いがあり、欧米、アジアからの留学生と慶應の学生の間にはしばしば激しい議論がまき起こり、お互いのバイアスに気づかされることも少なくありません。「なるほどそういう考え方もあるのか!」といった声があがります。こうした異文化衝突の経験もまた、バイアスの除去には欠かせません。

新設のEMBAコースでより幅広いビジネスパーソンに学びの機会を

KBSでは2015年度に、入学条件を職歴15年以上に設定した「Executive MBA(EMBA)」コースを開設します。MBAコースと同様に2年制で経営学修士の取得をめざすプログラムですが、職歴15年以上ですから年齢は40歳前後。各企業ですでに中堅以上の経営幹部の方々に、もしかすると最後になるかもしれない“学び直し”の機会を提供することが、私たちがEMBAコースを開設する目的です。
当校のフルタイムMBAコースは近年徐々に平均年齢が下がり、より自費学生の比率が高まる傾向にありますが、このEMBAコースは週末を中心に一部平日の夜も活用し、すでに枢要な業務をこなす経営幹部が仕事をこなしつつ学習することを可能にしています。こうした経営幹部への教育機会は、実はKBS創立当初の形に近いです。当時は学生のほぼ全員が企業派遣の幹部候補生だったのです。今回新設のEMBAは、いわばKBSの原点への回帰を目指すものとも言えます。EMBAコースのカリキュラムの内容はフルタイムMBAよりも応用の色彩が強く、他企業や海外へのフィールドワーク(経営提言)が積極的に行われます。
既存のフルタイムMBAコースも、新設のEMBAコースも、ともに受講者には大きな負担を強いることになります。そうであっても私たちがぜひ日本のビジネスパーソンにMBAの学びを提供したいと考えるのは、グローバルビジネスの現場においては、すでにそれが必須の素養となっているためです。
どちらのコースにしても、キャリアの途中で大学院に通うという選択は少なくないリスクを伴うでしょう。こうした場合、リスクばかりが強調されがちですが、リスクがなければリターンもないのは当然のことです。大きなリターンをめざして自分自身でリスクを取る決断をした方にとって、KBSの2年間がかけがえのない時間となることをお約束します。

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