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リーダーの母校

星野佳路・星野リゾート代表が語る(下)

コーネル大で知った欧米人の本音

2017/08/17  (1/2ページ)

 若き日に、ホテル経営学で世界の頂点に立つ米コーネル大学ホテル経営大学院に留学した、星野リゾートの星野佳路代表。前半は、留学の経緯や授業での苦労話などを振り返ってもらったが、後半は、米国人のクラスメートとの交流や、それが星野リゾートの事業に与えた影響などを語ってもらった。

◇   ◇   ◇

■クラスメートとは本音で付き合う関係になった。

 2年間で一番勉強になったのは、ビジネスの基礎理論をじっくり読み込むことができたことと言いましたが、もう一つ、私にとってとても大きかったのは、欧米人のクラスメートと本音で付き合ったことです。

 コーネルの授業では、5人ぐらいでグループを作って課題に取り組むグループワークが多く、人間関係が自然と密になります。締め切り前は夜中まで議論することも珍しくなく、それこそけんかのようになることもある。そこまで付き合いが深くなると、互いに本音や本心をさらすことができる関係が築けます。

 欧米人と本音の付き合いをしていくうちに、彼らが日本に期待するものも、よくわかってきました。例えば、彼らは、私がフォーマルな式典にスーツを着て来ると、とてもばかにします。何千年という歴史を持つ日本の国民が、なぜ英国人の制服を着ているのかと。彼らが日本人に期待するのは、極端なことを言えば、ちょんまげ、サムライのイメージで、こちらがその期待を外すと、とてもがっかりします。そういった話を、酒を飲みながら彼らとさんざんしました。

 この経験から、日本のホテルが海外に進出しようとする時、相手から何を期待されるのか、よくわかりました。その期待を外したら日本から何しに来たのかという話になる。コーネルの2年間で、それを肌で実感できたというのが大きかったですね。 コーネル時代の欧米人のクラスメートと濃密に付き合った体験から「抵抗感を持たれるぐらいに日本らしさをしっかり出すことが大切」と話す

■卒業後、米国内でホテルの立ち上げにかかわった後、帰国。外資系銀行勤務を経て、家業を継いだ。

 2005年に「星のや軽井沢」を開業しました。父が建てた旅館がとにかく古かったので、改築しなくてはと思い、時間をかけて作り直しました。私が初めて手掛けた改築です。もちろん、採算が合うようにはしたし、収益も高くなるよう設計しましたが、それ以上に私が気にしたのは、実は、コーネル時代のクラスメートの視線です。

 もし、ハワイやニューヨークのホテルをまねして西洋風のホテルを建てたりしたら、クラスメートが泊まりに来た時に、「お前、こんな日本の片田舎で何やっているの」とばかにされるのがオチです。それはまさに、日本に対する彼らの期待を裏切ることになるからです。そう言われないようにすることが、私にとっては一番大事なことでした。ですから、星のや軽井沢は、デザインにしてもサービスにしても、日本らしさをしっかり織り込んだものにしました。

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