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リーダーのマネジメント論

アステラス製薬社長 畑中好彦氏(上)

「プレゼン時間は1分」

2017/07/21  (3/3ページ)

 「また、8月は公式な会議をしない、ということにしました。8月は夏休みシーズンなのに経営会議があると準備に追われ、しっかり休めなくなります。部門でも大きな会議は全部やめました。これで夏休みを非常にとりやすくなった。12月もできるだけ公式な会議は前半に終わらせる。経営会議をはじめ、最も重い意思決定の場でも変えられた。この動きが、各部門でも浸透してきています」

■会議は物事を決めていない

 「私はこの6、7年『会議は物事を決めていない』『会議を開く必要はない』と社員、特に責任ある部門の長には強く伝えてきました。今までは『経営会議で決まったから』と様々な『いいわけ』をしていたかもしれませんが、『経営会議を招集した畑中が決めたんだ』としなければ。確かに、株主総会や取締役会は多数決で決めるものです。一方で執行側の会議は、責任のある人が決めて、その決定にはその責任を持つ人が決めるもの。数年間、この考えを浸透させてきました」

 「『A案とB案どちらがいいでしょうか、という類いの相談にくるな』とも強く伝えています。決定によって何かしらのリスクが内包されているときは報告してもらいますが、権限を与えているのだから行使すべきだと。決断しないのは仕事を放棄していることに等しいのではないでしょうか」

 「組織づくりのためや権限を委譲するためだけでなく、何より、責任の所在を曖昧にしないことが大切です。この人が決めていいと決めたにもかかわらずまた会議したり、報告という美名のもとで上司にお伺いをたてたり......。グローバルで競争するには、あまりにもスピードも遅くなります」

■10分程度の『立ち話会議』が増えた

 ――アステラス全体でも、会議の数が減りましたか。

 「私自身は、いわゆる5人以上集まるような会議は、週に1回あるかないかです。以前は毎日、何か大きなものがありました。一方で、毎日何かしら起きたときの、10分程度の『立ち話会議』が増えました。私がそれぞれの部門に訪れて気になることを尋ねることも増えました。働き方はだいぶ変わったと思っていますが、まだ途上ですね」

 「多様性がなければイノベーションはないし、スピーディーに物事を進めなければ生き残れない、という思いが社員に浸透し、全員が思ってくれていることを実感しています。『変化しなければ生き永らえられない会社だ』というのが、お約束の言葉ですから」

畑中好彦

 1957年静岡県生まれ。一橋大経済学部卒業後、藤沢薬品工業(現アステラス製薬)に入社。2011年から現職。60歳。

(松本千恵 代慶達也)

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