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リーダーのマネジメント論

日産自動車会長 カルロス・ゴーン氏(下)

「傷ついても学んでもらう」

2017/07/02  (2/3ページ)

 「相手をいい気分にさせても、その人は何も学べません。傷つくけれど学んでもらい、『次回はもっと頑張ろう』と部下に思ってもらう。これこそマネジメントの神髄です。若い人がトップに行くためには、そういった自分の欠点を直視し、学ばなければ成長できませんよ」

■現状維持は許されない時代に

 「『ゴーンの法則』とでもいいましょうか。人間はずっと同じ仕事をしていれば限界に到達したり、能力がなくなったりすることがあります。古びてしまうのです。技術は日進月歩で進んでいる、スタートアップ企業も生まれ続けているのに『現状維持』というのは死を意味します。我々は常に、今の仕事に対して納得するまで走り続けなければなりません」

 「たった今、業績がよかったとしても、今のままを維持してしまったら将来的に駄目になります。常に今あるものは暫定的なものだと思わなければなりません。より志を高めなければなりません。これはマネジメントの基本です。今は変革の時代だからです。たとえ今の仕事に居続けたとしても、上を目指さなければ古びてしまいます。昇進しても、学ばなければひどいことになりますよ」

■リーダー育成を阻む「集団」

 ――ゴーンさんから見た、日本人の強みと弱みを教えてください。

 「偉大なリーダーの誕生を阻む原因となる、日本の文化があります。それは、他の文化を尊重し、他者の気分を害するのを嫌がること。そして、集団を好みます。これはなんとかしなければなりません。リーダーは、集団でやるものではないからです」

 「フランス人にも米国人にも傾向があります。日本人の他者を思いやるという文化は素晴らしいものです。しかし、リーダーには向いていません。なぜなら、他者を傷つけても成長させるのがリーダーだからです。この部分に手をつけていけば、日本人は偉大なリーダーを持つことができるでしょう。ただし、いくつかの文化的な要因を変えなければならないと思います」

■部下の意見を尊重する

 ――日産の経営再建では部門横断の「クロス・ファンクショナル・チーム(CFT)」を設け、従業員が改革を提言しました。なかには、取るに足らない提案もあったと思いますが、どう対処しましたか。

 「CFTがすぐに解決策を出したわけではありませんよ。第一に、CFTのよさはテリトリー主義をなくしたことです。多くの日本企業には派閥があるのです。これは皆さんの会社にもあるでしょう。私はCFTメンバーと双方向で議論しました。『なぜこれがよい提案だと思ったの』と彼らに尋ね続けたのです。そして、私と会話するうちに、自分で『この提案はあまり良くないな』と気付いて納得したほうがいいのです。第二に、そもそも私が間違っている可能性もある。説明されるうちに、私が納得するかもしれません」

 「対話が必要なのです。リーダーは人を叱るためにいるわけではなく、人をサポートして適切な解説をするためにいるのです。そうすると、チームメンバーは仕事に誇りを持つことができます」

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