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私を変えたMBA

堀義人・グロービス経営大学院学長(上)

ハーバード式ケースメソッドに悪戦苦闘

2017/02/14  (3/3ページ)

■HBSに在学中、起業家になることを決意。日本でビジネススクールを開校する構想も浮かんだ。

 毎週金曜の夜は、よくクラスの仲間4、5人と大学近くのバーに行きました。そこで互いに将来の夢を語り合うのですが、いつも驚いたのは、米国人の大半が、自分でベンチャーを作る夢を熱く語ることでした。

 日本では優秀な人材はまず中央官庁、次に大企業を目指すというのが、少なくとも当時の常識でした。ところが、米国では、大企業に勤めていると言うと、「なぜ大企業に勤めるのか」とけげんな顔をされます。米国では、自分で会社を作って大きくすることこそが、エリートが夢見る一番格好いいキャリアなのです。

 それまでの私は、起業家になろうなどとは一度も考えたことはありませんでしたが、HBSの仲間とバーで夢を語り合ううち、起業家になる決心をしました。人生で初めて自分のキャリアが明確に見えてきたのです。それからの私は、帰国後の起業に備え、ベンチャー経営戦略とかベンチャー財務とか、ベンチャーと名の付く授業はすべてとりました。

 起業家になるための心構えも学びました。HBSには様々な起業家が来てスピーチをしますが、彼らの話を聞き、起業家として成功するために最も大切なのは「可能性を信じること」ということを学びました。人間には無限の可能性があるのに、その可能性を殺しているのは自分の中の意識であり、自分の中で完全に可能性が否定されるまでは、可能性を追い続けていくことが大切だという教えです。この教えは、HBSで学んだことの中で最も印象に残っていることです。

 グロービス設立のアイデアが浮かんだのは、大学の図書館前の芝生にのんびりと寝転がっていた時でした。「HBSって優秀な卒業生を数多く輩出し、世界経済にも大きく貢献していて、すごいなあ」と頭の中で独り言をつぶやいていたら、突然、「HBSのような大学院を日本につくったら面白いんじゃないか」というアイデアが浮かんだのです。心が急にワクワクし始めました。

 その後、HBSのMBAプログラムの責任者や総務や法務の担当者、さらにはHBSで教えている日本人の教授などに次々と会い、意見交換しました。頭の中で、構想が徐々に形になっていきました。

インタビュー/構成 猪瀬聖(ライター)

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