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私を変えたMBA

佃秀昭・エゴンゼンダー社長(下)

東大卒の銀行マン 理系トップMITで人事に覚醒、転職

2017/03/07  (3/3ページ)

■三和銀行に復職後、34歳で転職。その1年後、世界的な経営人材コンサルティング会社、エゴンゼンダーにヘッドハントされた。

 銀行に戻って最初の2年間は、国際審査部でプロジェクトファイナンスの不良債権処理にかかわりました。バブルがはじけた直後です。その後、人事部に異動し、辞めるまでの6年間、人事制度改革に取り組みました。

 プロ経営者が話題となる昨今ですが、邦銀は、その道のプロを外部から採用することは、今もあまりありません。当時私は、邦銀が市場で生き残るためには、優秀な人材を外部に求めることと、優秀な人材の流出を防ぐことが必要不可欠だと考え、そのための人事や教育、処遇制度の抜本改革を進めました。実際に、大手消費財メーカーからマーケティングのプロを引き抜いたこともあります。仕事をしながら、スローンで学んだサターンの例をふと思い出したこともありました。

 上司や同僚が優秀だったこともあり、仕事はやりやすかったですが、やはり大企業では、自分の主張が100%通ることはありません。外に出て思い切り自分の力を試したい、より広く日本社会に貢献したいという気持ちが高まり、退職を決意しました。不安はありましたが、MBAを持っていれば何とかなるだろうという気持ちでした。

 退職と同時に小さな外資系人事コンサルティング会社に転職。その1年後の2000年にエゴンゼンダーに再転職しました。エゴンゼンダーでは10年に東京オフィス代表に就任しました。現在は、金融庁・東京証券取引所の企業統治に関するフォローアップ会議のメンバーや、金融審議会の市場ワーキンググループ委員も務めています。日本の経済社会に貢献したいという学生時代からの想いを実現するため、活動の範囲を広げつつあります。

 今は人のキャリアのお手伝いをすることも仕事の一つですが、自分自身の経験から思うのは、結局、転職するかしないかは大きな問題ではありません。大事なのは、自分が何をしたいかとことん考えること。私自身は、今の仕事は天職だと思っています。やりたいようにやっているのでストレスはありません。社会に貢献しているとの実感も持てています。

 日本でも企業統治がますます重要になっていますが、グローバルに活躍する企業に共通するのは、経営者が何らかの海外経験を持っていること。英語もそうですが、良き経営に必要な多様な視点が身に付くからです。MBA留学も海外経験の一つ。ですから、若い人には、チャンスがあったら、躊躇(ちゅうちょ)せず、MBA留学するよう勧めています。

 講演などでよく言うのですが、MBA留学で失うものなんて何もありません。Nothing to lose.です。

 インタビュー/構成 猪瀬聖(ライター)

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